雑感/ 愛の群像
 ペ・ヨンジュン主演  2005/02




やっと以前から買う予定であったペ・ヨンジュン、キム・ヘス、ユン・ソナ主演の「愛の群像VOX1」を買った。それでも店の韓流コーナーではまたもや本作を買おうか人気絶頂のアン・ジェウクと韓国一の美人女優キム・ヒソン主演の「グッドバイ・マイ・ラブ」を買おうか凄く迷った。


1〜2分ほど迷ったが、普通の人が迷っている時間を考えると、迷っている内にはいらないだろうと思う。それでも私にはこの一瞬はとても長く、「どうしようと」と馬鹿みたいに自問自答しているのだ。多分物理的な時間の観念であれば私の場合は極めて短時間になるのだが、僅かな時間で実は私の頭の中ではコンピューターが激しく作動して何を買うのか選択しているのだ。


これを書いている今、本作を二日間でVOX1の第20話全て視聴した。この後どのようにして最終回まで展開したどり着くのか楽しみでもあるのだが、その一方でどうも年齢的な問題なのか、あまりに長編のドラマは、今後は敬遠しようと思いはじめた。ならばどのぐらいがリミットなのかといえばせいぜい第20話ぐらいが最大と真剣に思うようになってきたのだ。


なぜなら、私の場合は、気に入ったものであれば観始めると概ね最低でも10回以上は間違いなく一気に視聴するからだ。しかもこの間の集中力は衰えてきたとはいえ半端ではない。極端にいえば私の場合1日で食事と風呂に入る時間以外は、延々と観つづけることだってできる。例えば、休日を例にすると、朝8時に起床したとして、朝食をとる8時30分から視聴のスタートが始まり、就寝の午前0時30分まで、実質14時間にも及ぶのだ。この状態は休みが2日間あれば翌日もこのペースで視聴できる。さらに平日も帰宅後会社の寮で遅滞無く夕食を終えると同時に、TVとDVDにスイッチが入り、5時間強は視聴することができるのだ。


この例に倣うと一気に観ることはさして問題にならないように見えるのだが、これを繰り返し観るとなると40話、50話の作品は恐ろしく時間がかかりそうなのだ。しかも記憶力は年々劣ってきている。私の場合視聴した後、1話毎の各内容の概要を頭に入れる。さらに興味あるシーンも1話毎に何があったのか記憶に留める習性があるので、40話以上になるとこれは大変な努力が必要となるのだ。


本作はその40話以上の作品である。この作品は99年度作品となっているのだが、比較的新しい割りに古さを感じさせる。そして、男優陣を見ると主役のペ・ヨンジュンはいいにしても、親友(チング)の役柄があまりに幼稚な人間であるため2枚目は配されず一寸寂しい感じがする。これに対し、女優陣はキム・ヘス、ユン・ソナ、イ・ナヨンと明らかに女性陣は悪くない。特に日本で活躍する美人のユン・ソナは、同じくペ・ヨンジュン主演の96年度作品「パパ」に比べ成長した存在感を示して、いい女を演じている。


待ちに待った作品であったので期待して視聴したのだが、率直にいって私の中では、がっかりしたドラマである。
少なくとも掲示板やDVDのネット上の案内でもかなり評価が高いので、期待が大きかっただけに、一寸裏切られた感じでVOX2を購入するか否か躊躇している。そこで本作前半部(〜20話)の感想を述べたいと思う。





1.どうしてこんなにも古臭く感じるのか

私もかなり韓国ドラマを視聴しているが、99年頃の作品は大抵の場合、映像も綺麗で古さを感じることなどまずないといってよい。しかし、本作は不思議なぐらいとても99年の作品とは思えないほど、私の中では昔の感じがする。  

どうしてこんなにも感じるのかと考えてみると、映像は普通のレベルであるので、この点は問題があるわけではない。あるとすれば主人公の生活環境とその街並みに古さを感じさせるからだ。





2.役柄に魅力が感じられない

主役のペ・ヨンジュンが扮するジェホは上昇志向で苦学して名門大学を通っているのだが、この点の設定にはさしたる問題はない。腑に落ちないのは彼の身近にいる妹、それにチングは相当知性や教養面でレベルが低い設定なのだ。

特に驚くのは美人で教育も受けているはずであろう妹ジェヨンのレベルの低さに呆れるばかりで、如何にも信じられないのだ。兄であるジェホの苦労は十分に知っていると思うのだが、全くこの点を理解していない女性に見えるのである。しかも韓国では孤児への世間の目はある程度理解するものの、それ以前の問題であまりに幼稚で、できが悪い。作者はそんな女性を画いてはいないと思うのだが?全く相当ずれた人物設定であると思う。

その典型例が、如何にも品が無く、無学で頭が少々足りないと思うようなだらしない三枚目の男ソックに恋焦がれるものだろうか? しかもジェヨンを演ずるイ・ナヨンはスタイル抜群、眼はエキゾチックで大した美人なのだが、こんな美人がよほどの例外が無い限り、こんな風采の上がらないソックなどに恋心を抱くことなど信じ難いのだ。ジェヨンに惚れられるソックについていえば、ジェヨンが馬鹿に見える以上にこれに輪をかけてできの悪い男である。あの映像からは知能指数が相当低いようで、私は全く白けているのだ。このドラマの先行きは全く知らないので、仮にソックなる人物に大きな変化がもたらされたとしても、あまりにあり得ない設定だと思っている。それほど信じ難いのだ。学はないが、頭の回転が速いとか、何か斬れるような存在感があればなんの違和感も起こらないと思うのだが、どうも理解できない。





3.主人公3人の設定に違和感あり

このドラマの主人公3人の設定でもどうかと思うのだ。金持ちの大学生ヒョンス(ユン・ソナ)は打算で近づいてきたジェホ(ペ・ヨンジュン)を受け入れる。その一方でジェホは大学講師の年上のシニョン(キム・ヘス)に恋心を抱くのだが、まあドラマではよくある話しで何の変哲もないのだが、その後がいけない。

ヒョンスの姉のような存在のシニョンはグラマーで色っぽい外貌と異なり慎ましやかで、心優しい雰囲気を湛え、知性と教養に溢れた大学講師の女性である。そんな女性が実の姉のように慕っている勝気なヒョンスと付き合っているジェホに心を動かされるものであろうか?この設定もまたありがちだが、密かに想いつつも大抵の場合、愛する妹のようなヒョンスを押しのけるなど、些かどうかと思う。

また、全編を通してどちらが年上なのか頭をかしげるのである。しかも、シニョンの先輩であり婚約者に近い存在であったギルジンから、ヒョンスに対し執着は止めて本当に愛しているならジェホを自由にして諦めるようにというのはしっくりこないのだ。普通はこういうケースの場合は、年長の大人のシニョンにいうのではないのか。

さらに分別があり教養ある大人の女性(シニョン)がまだ年若い勝気な女性(ヒョンス)に、打算で生きるジェホとの交際を止めるなら解らないでもないが、理解し難い。

因みに私はヒョンスを演じているユン・ソナのファンなので、彼女の涙やジェホへの熱い思い入れに少し切なくなるのだ。おかしなものでドラマと知りつつ成就しない恋に、妙にエールを送っているのだ。彼女の役所は中々のものである。

余談ながら、この当時韓国で主役級にいた実力派のユン・ソナは、韓流ブーム以前になぜ母国韓国を離れ苦労が多いであろう日本に活躍の場を移したのか、別のところで考察してみたい。





4.舞台設定にも?(ハテナ)である

この当時このドラマが日本などで人気を博すとは考えていなかったと思うので、自国の今を映像化したと思う。従って、庶民的な下町の雰囲気はなじめず私には古さを感じることになったのだ。

最近の韓国ドラマは海外輸出を想定し、この点を十分意識して都会的な街並みを中心に映像化しているので、なんの違和感も起こらない。例えば「ホテリアー」はホテルでの出来事をドラマにしたので、多くの国で視聴可能な作品である。従って、普遍的な作品になりうるものである。この点で、本作は全く違う作品であるだけに、かなり視聴者によって好みがはっきりと分かれる作品かもしれない。

私は、主役のペ・ヨンジュンは大好きな役者で彼の作品なら何でも買ってみようと思っていただけに、この作品に限っては一寸引いた感じだ。





5.実は私自身の問題が大きい

完結まで44話は、私の体力・気力・集中力ではオーバー・フローを起こすことが予見できるのが本当の答えかもしれない。

16話〜20話前後であれば、2〜3日間ぐらいで概ね視聴可能だし、各話ごとの内容も比較的イメージし易いのだが、本作のように44話まであるとなると、私の記憶容量では全体が漠然となり、何となく面白かったとか、或いは内容は重かったけど結構泣けるものだと思ったかもしれない。

事実この作品で期待が大きかったこともあり、否定的に述べているが、凄く感心したことがある。実は、半ばあたりから各話の終わり頃に必ずといっていいほど、目頭があつくなるシーンがあり、一瞬眼が潤むのである。

本作は〜20話までは淡々ととドラマが進行して、後半のVOX2あたりからは波乱のストーリーが展開されているようだ。それを観てからでなければ、答えは出せないのかもしれないが、やはり私自身の問題でそこまで観つづける自信がないのである。





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